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ボニー式GIM体験者、事例研究参加者募集(2019年度)

昨年度に引き続き、名古屋音楽大学音楽療法コース准教授として、ボニー式音楽とイメージ誘導法 (ボニー式GIM)の効果について事例研究を実施することにしました。

ボニー式GIMとは、対象者が非日常意識状態(リラックス状態、または意識の集中した状態)で西洋音楽やリラクセーション音楽を聴きながら、イメージを自然に思い浮かべ、それについてセラピストと対話することにより自己洞察を深める音楽療法の手法で、世界中で実践、研究されています。

しかしながら日本人へのボニー式GIMを用いた事例研究はまだわずかで、事例研究を通してその効果について考察する必要があります。それにより、ボニー式GIMの日本人への治療効果に関する示唆が得られます。

そこでこのボニー式GIMの事例研究に参加される方を募集します。対象は、自分の内面をボニー式GIMを通して探求してみたい成人です。今回も精神科病院で何らかの診断を受けたことのある人は、ご参加いただけません。また日本語による話し合いを通したコミュニケーション能力を持っている方が対象になります。

私は、現在ボニー式GIMの実践家になる為のトレーニングを受けている段階で、私が一人でボニー式GIMは実践できません。この実践はトレーニングの一部である練習セッションと兼ねて行われ、その過程はボニー式GIMの実践家であるスーパーバイザーの指導のもとに行われます。その為、実践の過程で明らかになることは、このスーパーバイザーとも共有されます。

参加される方には6回から10回程度の、継続的なボニー式GIMを受けて頂きます。1回あたり90分から120分のセッションで2週間に一回の頻度で行われます。場所は名古屋音楽大学の私の研究室を用います。そしてこの経過や結果を事例研究論文としてまとめます。

事例研究に参加されるのに、次の項目について十分にご理解いただいた上でご参加頂きます。
• この事例研究への参加は、参加される方の自由であること
• この事例研究に参加するのは無料で、お金や相当の対価を求められないこと
• この事例研究には、精神科病院で何らかの診断を受けた人は参加できないこと
• 事例研究としてまとめるのにプライバシーについて最大限に配慮されるが、その過程で明らかになること(例、年齢、性別または性的指向、GIM治療要素の経験の有無、研究参加動機、生育歴、治療プロセスで明らかにされること、など)が含まれる可能性があること
• ボニー式GIMへの参加過程で、難しい感情や不快さを体験する可能性があること
• 事例研究が出版される前に内容を確認し、何度でも訂正を求められること
• 途中で事例研究への参加をいつでも、やめることができること
• 途中で事例研究への参加をやめることに対する補償はないこと
• 途中で事例研究への参加をやめた方のデータは破棄され、研究として一切使われないこと
• 途中で事例研究への参加をやめることで参加者に不利益が生じることはないこと

以上の内容を十分にご理解した上で、事例研究に参加していただける方は、別紙の同意書に署名と捺印をしていただきます。

なおこの調査研究は、2018年8月30日に名古屋音楽大学倫理委員会により審査され承認され、2019年度においても倫理委員会の承認を得ています。

もし事例研究にご協力いただける方は、下記の連絡先にご連絡ください。

また何かご不明な点などございましたら、お手数ですが下記連絡先までご連絡頂けますようお願い致します。皆さんのご協力に心より感謝申し上げます。

猪狩裕史(イガリユウジ)

yigari@meion.ac.jp

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私と音楽心理療法について:音楽心理療法のシンポジウム開催に向けて

私と音楽心理療法について:音楽心理療法のシンポジウム開催に向けて

名古屋音楽大学 猪狩裕史

 このエッセイは、第18回日本音楽療法学会学術大会で開催される自主シンポジウム「日本における音楽心理療法の発展と可能性」の企画者として、私と音楽、そして音楽心理療法との関係を、個人史的回想を通して振り返りながら、何故このシンポジウムを企画するに至ったかを述べるものである。

私がもともと音楽療法士を志したのは、私自身が音楽に救われた体験をしたからである。特に10代の時に自分のアイデンティティを模索する過程での複雑な感情や孤独、人間関係構築の不器用さを体験する過程で、そういったテーマを扱った歌によく慰めを受けた。私にとっての歌の存在について、ブルシア [1998/2017]が音楽心理療法の視点から的確に述べている。ブルシアによると歌は;

人間が感情を探索する方法である。歌は私達が誰であるか、どう感じているかを表現し、私達を他者へと近づけ、私達が一人でいる時に相手をしてくれる。歌は私達の信念や価値を主張する。月日が経って、歌は私達の生活の証言となる。歌によって私たちは過去を追体験し、現在を探索し、未来の夢に声を与えることができる。歌は私達の喜びと悲しみの物語を編み、私達の内奥の秘密を明かし、私達の希望と絶望を、恐れと勝利を表現する。歌は音の日記であり、人生の物語であり、個人の発達史である(p. 35)

 自分にとって歌はまさにこのような存在であった。自分の惹かれる歌を聞き、それにより自分の感情や考え、信じる価値観、希望、絶望が明らかになった。誰にも言えない気持ちを歌が代弁してくれた。また好きな歌を歌うアーティストを共にする人と仲良くなれた。雑踏の中で孤独を感じる時も一人イヤホンで歌を聞いていた。歌は自分にとってとても大切な存在であった。それなので、お医者さんに救われた子供が医師を目指すように、私自身が人間の心模様を歌い、人の心に寄り添えるアーティストになりたいと思っていた。そして大学時代に音楽療法という言葉に触れて強い興味を持った。「音楽」と「療法」という言葉から、自分がアーティストとしてやろうとしていることと近いのではと思った。しかし学部での音楽療法の学習は、発達障害やアルツハイマー型認知症、統合失調症などの重篤な診断を受けた人を対象にした、ウィーラー( Wheeler, 1983)のいう支持的、活動志向の音楽療法が主であり、その中でやりがいを感じながらも「何か違うな」という違和感を同時に感じていた。

そんな中で強く惹かれたのはボニー式音楽とイメージ誘導法(以下ボニー式GIM)であった。自分の興味があった洞察的、心理過程志向の音楽療法、さらには分析的、カタルシス志向の音楽療法である。彼女の書いた本、「音楽と無意識の世界」 (1990/1997)を購入し、ボニー本人によるワークショップに参加したこともあった。しかしながら、このような洞察的、分析的ワークは、大学院レベルの教育と聞きがっかりしたことも強く覚えている。

それから約15年の月日が流れ、2011年の東日本大震災の被災をきっかけに、私は再び大学院へと留学をした。米国ヴァージニア州立ラッドフォード大学のジム・ボーリング先生のもとで、学部生時代からずっと学びたいと思っていた音楽心理療法を学んだ。人間主義、精神力動主義、行動主義、認知主義の四つの心理療法における視点を統合して音楽療法の中で用いるアプローチを修士論文のテーマとして取り組んだ。修士論文の臨床例としてトラウマのある大学生との即興のワークを行なったが、即興演奏を通し自己を表現し、自分の感情とつながり、共に即興することで強い絆が生まれ、自分の内的な課題を他者に打ち明ける勇気が持てるように変容していった過程を目の当たりにし、「ああ、これがまさに自分のやりたかったワークなのだ」ということを実感した。

また大学院では、ボニー式GIMと再会を果たし、レベル1のトレーニングを授業の一環として受けた。その後私はボニー式GIMの実践家(フェロー)になるためのトレーニングを続けた。レベル2のトレーニングを受けた時の演習体験を通して、自分の中の、小さいけど自分の人生を40年以上も支配してきたトラウマの根源にイメージ体験を通してたどり着き、和解し、克服することができた。教育分析という言語のみのアプローチによる精神療法も受けてきたものの、それではたどり着くことのできなかった問題を、ボニー式GIMを通して克服できたのである。この時に涙がずっと止まらずたくさんの涙を流したが、その時のトレーナーであるニッキー・コーヘン博士に「40年以上溜め込んできた涙をやっと流せたね」と言われた、忘れられない体験であった。

このように音楽は、心理療法に求められる「人の心をより良い状態に変容させるプロセス」に介在し大きな役割を果たすことができる。私はそれをセラピストとしても、クライエントとしても知っている。日本の音楽療法の領域において、これまで音楽心理療法に関する議論は活発だとは言えなかった。しかしながら2016年に名古屋音楽大学でボニー式GIMの実践家育成訓練 (2016)や、「精神分析的音楽療法セラピスト養成講座」 (ドイツ音楽療法センター, n.d.)が開催されたり、ブルシア (1998/2017)が編纂した「音楽心理療法の力動〜転移と逆転移をめぐって〜」が小宮暖氏により翻訳されたりするなど、音楽心理療法について議論する下地ができつつある。これが、私が第18回日本音楽療法学会学術大会において「日本における音楽心理療法の発展と可能性」という自主シンポジウムを企画する動機であった。音楽療法は、まだ多くの可能性を秘めており、その一つがこの音楽心理療法の領域である。そして音楽心理療法についての議論をいま始めることが、音楽心理療法の日本における発展に繋がると考えている。

 このシンポジウムでは、四つのアプローチを取り上げることなっている。一つは「『大切な音楽』を媒介とした語りと沈黙:受刑者への音楽ナラティヴアプローチ」と題して、松本佳久子氏に、主に大切な音楽、特に歌に関する話し合いを通したグループ音楽心理療法についての話をしてもらう。また「精神力動と音楽:分析的音楽療法の音楽家へのアプローチを通して」と題して分析的音楽療法士の小宮暖氏に、また「ノードフ・ロビンズ音楽療法:クリエイティブな自己を解放する音楽アプローチ」と題してノードフ・ロビンズ音楽療法士で名古屋音楽大学非常勤講師の長江朱夏氏に、それぞれの音楽中心的で即興的なアプローチについて話をしてもらう。さらに「日本でのボニー式GIMの有効性と予防医学への可能性」と題して、日本初のGIMフェローである小竹敦子氏に受容的アプローチであるボニー式GIMについて話をしてもらう。これら三つの技法(歌、即興、音楽とイメージ法)は、ブルシアも音楽心理療法に用いられる主要技法として上げているものである(1998/2017)。それらについて日本の環境で実践をしている四名から話を聞けるのは貴重な機会となるであろう。さらに指定討論者に、ドイツ音楽療法センターの代表で「もう一人の自分と出会う:音楽療法の本」の著者である内田博美氏、横浜カメリアホスピタルの医師である山之井千尋氏に迎えて議論を深める予定である。

 先に名古屋音楽大学におけるボニー式GIM実践家育成訓練について述べたが、その参加者から、「ああ、このようなこと(音楽の持つ療法的な力について)を学びたかった」という声を多くもらった。私も先日ボニー式GIMのレベル3モジュール1のトレーニングに参加したばかりだが、学べば学ぶほどこのアプローチでは音楽が効果的に人の心に働きかけていることがよくわかる。そしてその学びの過程は、小手先のテクニックを教えるのではなく、参加者自身がGIMを体験しながら内観することが前提として求められている。今後日本の音楽療法が心理療法の分野で根付き発展していく上で、このような音楽の、または音楽心理療法の個人的体験に基づいた影響が、領域への深い関わり(コミットメント)につながっていくと考えられる。そのような話を各シンポジストから聞けることにも期待したい。

 

参考文献

Wheeler, B. L. (1983). A Psychotherapeutic Classification of Therapy Practice: A Continuum Procedures. Music Therapy Perspectives, 1(2), 8-12.

ドイツ音楽療法センター. (n.d.). セラピスト養成講座. 参照先: ドイツ音楽療法センター: https://www.gmtc-jp.com/ausbildung/

ブルシア, K. E. (1998/2017).音楽心理療法への導入. 著: ブルシアE.K., 音楽心理療法の力動:転移と逆転移をめぐって(ページ: 26-41). NextPublishing Authors.

ボニーH, サヴァリーL. (1990/1997). 音楽と無意識の世界:新しい音楽の聴き方としてのGIM(音楽によるイメージ誘導法). (村井靖児, 村井満恵, 訳) 東京都: 音楽之友社.

名古屋音楽大学. (2016年6月28日). 「ボニー式GIM実践家育成プログラム・レベル1を開催しました(6/23~27)」. 参照先: 名古屋音楽大学: http://www.meion.ac.jp/topi/ボニー式gim実践家育成プログラム・レベル1を開/

 

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音楽療法に関する相談を受け付けます

こんにちは。音楽療法士の猪狩です。

2018年度は少し時間的な余裕があるので、様々な音楽療法に関する相談を受けようと思います。音楽療法の論文指導を受けたい、音楽療法に関する相談(実践に関する悩み、音楽療法プログラム導入や拡大の相談、など)をしたいという人を募集します。単発でも長期にわたるものでも可能です。基本的にはスカイプを使用した論文指導や相談になります。詳しくは下記をご覧いただき、興味のある方は下記のフォームからご連絡ください。

  • 場所:オンライン(スカイプ使用)
  • 日時:相談に応じますが、基本的には夜間か週末になります。
  • 料金:5,000円(30分)

なお私については、プロフィールのページからご覧いただけます。

これを機会に音楽療法の実践も行いたいと思っていましたが、環境が整わず今回は見送りました。またそのような環境が整ったらお知らせします。

良い導きがありますように。

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民謡のリンク

名古屋音楽大学の音楽療法コースでは、大垣女子短期大学の菅田文子先生の『音楽療法の必須100曲』シリーズを活用させて頂いている。

そのシリーズにある民謡曲(「~節」、「~音頭」)のYoutubeリンクを集めてみました。

ご活用ください。

三橋美智也 炭坑節(高齢者編 p. 72)

東京音頭(高齢者編 p.74)

黒田節 三橋美智也(高齢者編 p.200)

草津節 三橋美智也(高齢者編 p.202)

三橋美智也 ソーラン節(高齢者編 p.70)

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