「勇気を持って創造的に!」:311にクライブ・ロビンズを思う(猪狩裕史)

“Be creative, courageously creative!” : Remembering Clive Robbins on 311

今日は3月11日です。東日本大震災から9年の月日が流れました。当時私たち家族は仙台で被災をしました。

当時の状況を私は「the ミュージックセラピー vol. 19」で回想していますが、その中にクライブ・ロビンズ先生から寄せられた言葉を載せています。ご存知の通りクライブ・ロビンズ先生は、ノードフ・ロビンズ音楽療法の創設者の一人で、私が尊敬する音楽療法士の一人です。

そのthe ミュージックセラピー vol. 19にも載せた、震災後にクライブ・ロビンズ先生に問い合わせた時のことを、ここにも載せておきたいと思います。当時の文章から一部加筆修正を加えています。

音楽の力を信じる(Faith in music)。そして「勇気を持って創造的に(Courageously creative)」!

私も余力が出て来たら、もっと多くの人に音楽による支援をしていきたいと思っています。しかし今回の震災の規模を考えると圧倒されそうになります。特に津波により全てを失ってしまった人、目の前で愛する家族や友人、故郷が流されて行くのを目の当たりにした人、思い出の詰まった故郷の変わり果てた姿に向き合わなければならない人。彼らのことを考えると、体の一部がわしづかみにされて奪い取られる様な感覚になります。私に何が出来るだろう?音楽で何が出来るだろう?自分は心のケアをする様なカウンセリングの能力もありません。自分の無力さを感じそうになります。

私はこのように音楽療法士として困難に直面する時はいつも、『クライブ・ロビンズ(Clive Robbins)さんならどうするのだろう?』ということを考えてみます。そして改めて考えてみました。…、きっと彼なら『Believe in the power of music(音楽の力を信じなさい)』と言ってくれるのではないかと思いました。BelieveというよりはむしろFaith(信念)という言葉で『音楽の力に信念を持ちなさい(Have a faith in the power of music)』と言ってくれるのではないかと思いました。ただ今回ばかりは、それを確認してみたくなりました。体調を悪くされているということを聴いていましたので、ためらうところがあったのですが、岡崎香奈さんに仲介していただき、私に、そしてこの震災と対峙するセラピストにどのようなアドバイスがあるのか伺ってみました。すると彼は、『音楽の力を信じる』ということは、もちろん前提の姿勢として更に、次のような言葉を送ってくれました。

『もし私が、あなたが直面している様な状況に対峙するのなら、直感的に適応して活動するために自由になりたいと思う。自分の同情心や共感力という人間的能力を、日本文化にしっかりと生きてきた知恵に支えられながら、療法の関係と瞬間の中に音楽的インスピレーションを持ち込みたい。ですので、私のあなたへの基本的な助言は、創造的でありなさい、勇気を持って創造的であれということです。そしてあなたの中の直感とひらめき(インスピレーション)を道しるべにしなさいということです』

” If I were faced with the situation you are facing, I would want to be free to work intuitively, adaptively, and let my human faculties of sympathy and empathy, backed by my intimately lived knowledge of Japanese culture guide me in bringing musical inspiration into the therapy moments and relationships. So my basic advice to you is to be creative, courageously creative, and let your faculties for intuition and inspiration guide you.”

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